アタマの中と世界を結ぶ 東山とっとりとりとめない記録鳥

人生五十年下天の内を比ぶれば、残り七年強。

唐詩に思ふ

詩は、一定の条件下でのみ成立するということに、歴史上唯一現代の人間のみが気付くことに成功した。全世界的なコミュニケーションツールを手にしてはじめて人は、ある時間空間の条件の中でのみ、われわれの精神のうえに生じる現象を詩と呼んでいたのだと知る。

余りに散文的、あまりに散文的な生が蔓延している。

それまで人は、詩は人類にとって普遍的な装置だと(今でも実はそうなのだが)信じていた。そうして、その条件は決して消えることのない性質を持った条件をも含んでいるにもかかわらず、よく考えもせずに、多くはすでに消えたと感じている。その現状を、普遍的なものであるとただ「信じなくなった」と表現すればよいだろうか。生き生きと生きているものを、追憶の対象として懐かしむ行為とは、倒錯以外の何ものでもない。そういう環境下にいま我々はある。