アタマの中と世界を結ぶ 東山とっとりとりとめない記録鳥

人生五十年下天の内を比ぶれば、残り七年強。

「大岡信を送る 2017年  卯月」谷川俊太郎

大岡信を送る 2017年  卯月

 

本当はヒトの言葉で君を送りたくない

砂浜に寄せては返す波音で

風にそよぐ木々の葉音で

君を送りたい

 

声と文字に別れを告げて

君はあっさりと意味を後にした

朝露と腐葉土と星々と月の

ヒトの言葉より豊かな無言

 

今朝のこの青空の下で君を送ろう

散り初める桜の花びらとともに

褪せない少女の記憶とともに

 

君を春の寝床に誘うものに

その名を知らずに

安んじて君を託そう

 フクヤマにもこんな気の利いた言葉を送ってやるヤツがいたなら、少しは。