アタマの中と世界を結ぶ 東山とっとりとりとめない記録鳥

人生五十年下天の内を比ぶれば、残り七年強。

大江健三郎「奇妙な仕事」『大江健三郎全小説1』p16

 

僕がその赤犬を引いて囲いの入口まで行った時、女子学生が血に汚れた毛皮をさげて出て来た。それを見ておびえた赤犬が暴れるのを運び紐を引き締めて静めようとした僕に赤犬は激しく跳びかかり腿に咬みついた。囲いから出て来た犬殺しがすばやく赤犬を引き離したが腿は痺れたように無感覚だった。

 ひどい悲鳴を上げたわね、と女子学生がいった。赤犬に咬まれたくらいで。

 

 

 恥辱の具体例を思いつく能力は天下一品。