アタマの中と世界を結ぶ 東山とっとりとりとめない記録鳥

人生五十年下天の内を比ぶれば、残り七年強。

メモ 斎藤環「広がり、根付くオープンダイアローグ」(1903現代思想)

 そもそも日本においてのオープンダイアローグの受け取られ方は、世界的に見てもかなり特異なのです。いまのところ世界的な動向としては、関心を持つ人のかなりの部分がヨガなどの代替医療ニューエイジ系に関心のある方たちです。日本では例外的にアカデミアや精神科医の関心が高い。

 

 なぜ「就労」の説得が有害なのか。それはこの種の説得が、常に本人の「意志と責任」についての批判にしかならないからです。働かない人への説得ないし叱咤激励は、つまるところ「働かないのはお前の意志が弱い(甘えている)」か「働かざる者食うべからず(自己責任)」のいずれかに帰結します。その理屈は、実は当事者自身が一番わかっている。実際ほとんどのひきこもり当事者は、抜け出すべきあがきながら、同型の批判を自分自身の繰り返し向けています。しかし批判で動機付けられる人は、それだけの余裕と健康度がある人だけです。自身を批判し尽くして失敗してきた当事者を同じ理屈で責めても、批判者への不信感とともに自尊感情の毀損が生ずるだけです。これが「説得の有害性」のからくりです。

 

…「どうしたら自分の価値を取り戻せるかを一緒に考えていきましょう」くらいのことはかろうじて言えるかもしれません。…