被知覚態、変様態、そして概念
旅、そして「動きすぎてはいけない」ヒント
たとえ帰ってくるつもりでも、わたしたちが家から離れれば、大リトルネロが湧きあがる。というのも、わたしたちがいつか帰るとき、それがわたしたちだとわかる者は、もはや誰もいなくなっているからだ。(『哲学とは何か』ドゥルーズ/ガタリp272)
加えて、
…だれかがソクラテスに、
「あの人は旅をしてきたくせに、全然よくなっていないのです。」
というと、
「それはそうですよ。だって、自分をいっしょに運んでいったのですからね」
と返事が返ってきたという。…われわれは自分の鎖を、いっしょに引きずっている。つまり、完全な自由ではないのだ。自分が残してきたもののほうに、いまだに視線を向けているのであって、そのことで頭がいっぱいになっている。 (『エセー』モンテーニュⅠの三十八)
『群像』2016年4月号「対談:モンテーニュという生き方」宮下志朗の発言