木下順二「子午線の祀り」知盛のセリフ(池澤夏樹「終わりと始まり」170805より)
木下順二はこの芝居の主題を、運命は天が決めるか否かに置いている。知盛は問う―「負け戦さ―わが子武蔵守知章を眼前に見殺しにして逃げたこと―馬を敵の手に放ったこと―その一つ一つが、すべてはそうなるはずのことであったといま思われるのはどういうことだ?」という問い。
運命の象徴として月の運行がある。月が潮を動かし、潮が壇ノ浦の海戦の勝敗を決めた。月が子午線を渡るという現象は人間の手では動かしがたい。そう考えて知盛は負けたことを自分に納得させ、「見るべき程の事は見つ」と言って自ら水中に没する。
納得のかたち
ほんとうに確率的な/偶然の問題なのか
運命とは何か