2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧
もし退職するまでに、なにかこれからできることがあるとしたら、マロニエの樹をもう一度植えることぐらいかもしれない。地下の展示室の痛ましさに打ちひしがれた人々が、ああ、ほんとうにひどいことだったのだね、黒焦げのあの少年は熱かったろうね、と語り…
今年二月十四日、フロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で、銃の乱射によって、十七人の高校生と教職員が亡くなった事件をまだおぼえている。高校生の呼びかけに全米では百万人近くのもの人が集まったともいわれる。ワッペンや…
僕がその赤犬を引いて囲いの入口まで行った時、女子学生が血に汚れた毛皮をさげて出て来た。それを見ておびえた赤犬が暴れるのを運び紐を引き締めて静めようとした僕に赤犬は激しく跳びかかり腿に咬みついた。囲いから出て来た犬殺しがすばやく赤犬を引き離…
epigraph [H]istory has come to a stage when the moral man,the complete man, is more and more giving way, almost without knowing it, to make room for the . . .commercial man, the man of limited purpose.This process, aided by the wonderful p…
ジーン・リース『ウィーン』(引用) 男たちがわたしをだめにした―いつもわたしの心には見向きもせず、身体にばかり執心して。女たちがわたしをだめにした、意味のない残忍さと愚かさで。唯一持っている武器をつかう以外、わたしにはどうしようもなかったじ…
2018.8.31「週刊読書人」書評 上村忠男 ジルベール・シモンドン『個体化の哲学ー形相と情報の概念を手がかりに』 …シモンドンは1950年代当時まだ緒についたばかりの高度産業技術社会の時代にあって、その時代の申し子であるとともにその時代を…