アタマの中と世界を結ぶ 東山とっとりとりとめない記録鳥

人生五十年下天の内を比ぶれば、残り七年強。

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「敷衍について」武田泰淳『すばる』1903号

私の友人で今度戦犯になった人がある。… 僕は金がなくなるとよく公園に入る。… …僕は上海市民とその運命を俱にしているような顔をしてベンチの一隅を占領してはいるが、あたかも二つ穴を持った(注:日本と中国のこと)狐の如く狡猾に身をかわし、姿をくらま…

社会の価値観とともに歩めない人

「人々は生きるためにこの都会にあつまってくるらしい。しかし僕は、むしろここではみんな死んでゆくとしか思えない」(R・M・リルケ『マルテの手記』より) 「粗野な魂の持ち主は、世のなかを駈けまわってそこに楽しみを見出すことができる。しかし繊細な魂…

フランス「バカロレア」哲学教育の必要性 「単なる社会の歯車としての人間」に抗して

折々のことば:1409 鷲田清一 「自分の権利を擁護することは、自分の利益を擁護することだろうか?」「自分自身の文化から自由になれるだろうか?」(フランスの大学入学資格試験問題) フランスの知人に、貴国ではなぜ高校で哲学教育を重視するのかと質…

『社会学を学ぶ』つづき ル・ボン

ギュスターヴ・ル・ボンは、群衆の台頭する時代を破壊と混乱の相で見ていた(『群集心理』)。ル・ボンは、群衆のなかに、個人の心理や判断力を超えた一つの集団的な心理の成立を見る。ル・ボンによれば、この群衆の心理は、衝動的で興奮しやすいこと、暗示…

もう「大衆の反逆」見たかい?

(エドガー・アラン・)ポーにとって群衆は野蛮な何かであり、「規律」を受け入れるとしてもそれは表面的である。画家のジェームズ・アンソールは謝肉祭を思わせるような群衆の光景のなかに「軍隊」を描きこんだが、それは群衆が何を代補されるべき存在であ…