アタマの中と世界を結ぶ 東山とっとりとりとめない記録鳥

人生五十年下天の内を比ぶれば、残り七年強。

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

それはあまりに人間的な…

世のひとは、あまりにもどうでもよいことにムキになり、それがさも重大事であるかのように騒ぎ立て、挙句の果てにそれがじぶん自身演技だったことも忘れ、ノリで乗っていたことを忘れ、本当はそもそも何が大事なことだったのかもわからなくなる。それが現代…

柄谷行人「丸山眞男の永久革命」より引用備忘『世界』1907号

…日本のファシズムを考察しようとした彼(=丸山眞男)の仕事は、つぎのようなフロイトの言葉に対応するものであったといえる。 マルクス主義のすぐれたところは、察しますに、歴史の理解の仕方とそれにもとづいた未来の予言にあるのではなく、人間の経済的…

ミシェル・ウェルベック『ショーペンハウアーとともに』(2)

人間にとって存在し、生み出されるあらゆるものは、直接的には人間の意識のなかに、また意識にとって存在し、生み出されているにすぎない。したがって、何よりも重要なのは、意識の性質なのであって、たいていの場合、すべては意識のうちに現れた様相にでは…

「雛の春」古井由吉

金曜日に例のごとくひと月遅れの『群像』、『新潮』、『文學界』、『すばる』七月号が県立図書館から届いたので早速目を通す。 『群像』はエッセイや書評は見るべきものなくスルー。西村賢太が藤澤清造の小説を紹介している「乳首を見る」と、松浦寿輝/沼野…

ミシェル・ウェルベック『ショーペンハウアーとともに』(1)

一般に、あらゆる時代の賢人たちは常に同じことを語ってきたし、あらゆる時代の愚者たちは、つまり圧倒的大多数は常に同じことを、つまり、賢者たちの言ったことと反対のことを行ってきた。それは今後も変わらないだろう。だからこそ、ヴォルテールは述べた…

「天皇と国家」先崎彰容(2)

なにを基準に世界を色分けし、選択すればよいのか。意外なほど自己判断には迷いがつきものである。情報であれ、流行であれ、結局は他人に左右されながら、僕らは自分で判断したつもりになっている―「彼は自分自身の重心を持っておらず、具体的な経験や自己の…

天皇と人間 先崎彰容(1) 

ベンヤミンは法のもつ虚偽を暴くこと、これを「純粋な暴力」による革命と呼んでいる。善悪の基準、あるいは何が絶対的に正しいかは、あらかじめ決まっているわけではない。そういった秩序のがんじがらめから解放され、無政府的な状態を祝祭しつつ、生きるべ…