アタマの中と世界を結ぶ 東山とっとりとりとめない記録鳥

人生五十年下天の内を比ぶれば、残り七年強。

William Faulkner - Banquet Speech  フォークナー ノーベル文学賞受賞演説

I refuse to accept this. I believe that man will not merely endure: he will prevail. He is immortal, not because he alone among creatures has an inexhaustible voice, but because he has a soul, a spirit capable of compassion and sacrifice a…

「コミュニケーションにおける闇と超越」國分功一郎/千葉雅也対談『現代思想』1708「コミュ障」の時代

國分 ある一定の貧相な基準に合致する人物しか活躍できないような社会はよくない。僕の知る業界だと、例えば大学の人事評価や新任人事のやり方にもエビデンス主義が入ってきていて、五つぐらいの評価枠をつくって点数をつけるというようなことが行われてきて…

村上春樹、河合隼雄に会いにいく

「わたしはイルカになった。」 ジャック・マイヨール(素潜り100m) 「そのとき私は山になる。」 ラインホルト・メスナー(8000m級の山に酸素ボンベなし登頂)

『あわいの時代の『論語』ヒューマン2.0』安田登

「羌族」の人たち 家畜の牛 『わたしを離さないで』のヘールシャムの子どもたち なぜ逆らいもせず殺されるがままなのか? 「文字」によって成立しうる 「時間」という意識が無いから

池内紀『闘う文豪とナチス・ドイツ』(中公新書)

父は若い歴史学者の報告に注釈を加えるようにして述べている。「……グロテスク。破局への誇り。自分たちがいかに悲惨であるか、彼らにはまだわかっていない。自由のお祭り騒ぎがこれからきっと起こるだっろう」(五月二十八日) マンは性急で苛立っている。ナ…

170826(土)渡辺京二より

170826(土) 渡辺京二より酒井若菜様へ「あなたへ往復書簡」 根岸鎮衛『耳袋』/橘南谿『東西遊記』/松浦静山『甲子夜話』 三田村鳶魚『歌舞伎百話』 「政治季評」豊永郁子 17世紀の哲学者ジョン・ロック『市民政府論』 「被征服民の権利」 ロック…

津島佑子『半減期を祝って』(2)

自分の子どもがまだ小さい親たちは、先の話だと思って、知らんぷりを決めこんでいる。子どもが中学生になったら、留学させるつもりでいる親も少なくない。今のところ、まだそんな抜け道が残されてはいる。お金さえあれば、なんとかなるという考え方が、三十…

津島佑子『半減期を祝って』(1)

子どもたちの運動会と言えば、最近、新しい法律をめぐって大騒ぎになっているらしい。中学生の親たちのなかには、どうしたってこんな法律には承服できない、と国会議事堂まで行き、むかしなつかしい座り込みをしているひとたちもいるという。 四、五年前に、…

「小説」について(1‐1「想像的なものとの出会い」モーリス・ブランショ『来るべき書物』粟津則雄訳)

あらかじめ宿命づけられたこのつつましさ、何ものも願わず何ものにも到りつくまいとするこの欲求、これらが、多くの小説を、何ひとつ非難すべき点のない書物と化し、小説というジャンルをあらゆるジャンルのなかでもっとも好ましいジャンルと化するに足りる…

「犬どもを放してやれ」と保安官は言った。(フォークナー『八月の光』諏訪部浩一訳(岩波文庫))

「綱が邪魔で好きに動けないかもしれん」一同はそうした。犬たちはいまや自由の身となり、三十分後には迷子になった。人間たちが犬を見失ったのではなく、犬たちが人間を見失ったのである。二匹は小川と丘をこえたところにいたので、男たちにはその声がはっ…

『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』「結婚と井戸掘り」 ある小太りの占い師が…

ある小太りの占い師があなたには御先祖様の加護があるから一生幸せで、不幸なことになりかけても周りの人が助けてしまい、少なくともプラスマイナス・ゼロになりますと言った通り、てんで幸福で日々の些末な葛藤以外、コミットすべき困難も人生のテーマもさ…

軍事力ではなく自らの社会制度を最善に高めること

8月6日(日)朝日新聞書評 立野純二評『歴史の逆襲』ジェニファー・ウェルシュ カナダ人学者の著者が今後の指針とみるのは、冷戦期の米戦略家ジョージ・ケナン氏の勧告である。 ソ連に対抗する最高の手段は、軍事力ではなく、自らの社会制度を最善に高めるこ…

キミたちは自分で経験しなければ分からないほどのバカか?

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。 愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。私はむしろ、最初から自分の誤りを避けるため、他人の経験から学ぶのを好む。 Nur ein Idiot glaubt, aus den eigenen Erfahrungen zu lernen.Ich ziehe es vor, aus den E…

『本は読めないものだから心配するな』菅敬次郎

読書とは、一種の時間の循環装置だともいえるだろう。それは過去のために現在を投資し、未来へと関係づけるための行為だ。過去の痕跡をたどりその秘密をあばき、見いだされた謎により変容を強いられた世界の密林に、新たな未来の道を切り拓いてゆくための行…

「ベルリンの奇異茶店から世界へ」多和田葉子/堀江敏幸 対談(「新潮」2017.7)

非在としてのアジア 堀江 多和田さんは、朗読会やシンポジウムなどで、よくドイツの外に出られますが、日本に帰ってくるとき、他とちがう思いはありますか。 多和田 日本に着くとすごく嬉しいんですが、でもこの日本は私が帰りたい日本とちょっと違うなとい…

木下順二「子午線の祀り」知盛のセリフ(池澤夏樹「終わりと始まり」170805より)

木下順二はこの芝居の主題を、運命は天が決めるか否かに置いている。知盛は問う―「負け戦さ―わが子武蔵守知章を眼前に見殺しにして逃げたこと―馬を敵の手に放ったこと―その一つ一つが、すべてはそうなるはずのことであったといま思われるのはどういうことだ…

After the first death, there is no other.

A Refusal to Mourn the Death, by Fire, of a Child in London Never until the mankind making Bird beast and flower Fathering and all humbling darkness Tells with silence the last light breaking And the still hour Is come of the sea tumbling …

蜂飼耳「松浦理英子『最愛の子ども』」書評より 恋愛?友情?友愛?いいえ…

世の中には恋愛や友情や友愛といった言葉があって、誰でも使うことができる。けれど、人と人との関係をじっと見つめるなら、どれも恐ろしいほどに唯一のものであり、本来的には名付けることなどできはしないのだと気づく。 (中略) …名付けることのできない…

「大岡信を送る 2017年  卯月」谷川俊太郎

大岡信を送る 2017年 卯月 本当はヒトの言葉で君を送りたくない 砂浜に寄せては返す波音で 風にそよぐ木々の葉音で 君を送りたい 声と文字に別れを告げて 君はあっさりと意味を後にした 朝露と腐葉土と星々と月の ヒトの言葉より豊かな無言 今朝のこの青空の…

漸進主義は現代医療のヒーローだ1 アトゥール・ガワンデ

医療に対して、私たちはヒーローに対するのと同じような期待を抱いている。第二次世界大戦後、ペニシリンなど山ほどの抗生物質が、それまで神の手によるしかないと思われていた細菌性疾患の災禍を克服した。新しいワクチンがポリオやジフテリア、風疹、麻疹…

「折々のことば」663 鷲田清一

全員が同じスキを持っているという安心感が、彼らを無防備にさせる。 ナンシー関「信仰の現場」から

「コルヴィッツ通り」多和田葉子 『新潮』2016年4月号

子どもは親のすべての表情、仕草、言葉を最終的には解釈できないままに記憶し、夜空のように肩に背負って歩いていく。P132 自らある程度年をとってからちりばめられた星と星をつなぐように記憶の断片をつないで、柄杓や熊のかたちをした星座を描いてみて、雪…

『フェルメール 光の王国』福岡伸一

『群像』2017年5月号 大澤真幸/松浦寿輝 対談「「近世」への三つの球」**P28~29 バロックの三つの主要な主題「ヴァニダス」「メメント・モリ」と「カルペ・ディエム」そこにおける「この一瞬の享楽」と「永遠の相の下にとらえられた一瞬」について。 フ…

アントワーヌ・コンパニョン『書簡の時代』 ロラン・バルトについて

まずは書評について。

意志の唯物性 意識はどれほど物理的か

17 自由 進化論の説くところによれば、ぼくらはあらかじめ創造された天地に投げ込まれたアダムとイブではないのである。わかるべき世界にわかりたい者が投げ出されたのではなく、わかるべき世界とわかろうとする者とが、互いに互いを作り合ってきたのだ。 …

柴崎友香『わたしがいなかった街で』

マンションの三階の部屋に辿り着くと朝早い仕事の母はとっくに寝たあとだった。ノートパソコンを開いて知人のブログを巡回しながら、焼き鳥とこんにゃくと糸こんにゃくとうどんを食べた。知人たちは概して「相変わらず」という感じだった。最近食べたもの、…

鼠骨来る 共に午餐をくふ/鼠骨去る 左千夫義郎蕨真来る 晩餐(鰻飯)を共にす 正岡子規

◇ 病床で激痛にのたうちまわる俳人を、友人や弟子筋がひっきりなしに見舞う。まるで病床がサロンになったかのよう。代わりに痛むわけにはいかないけれど、傍らでしばし気を散らせることはできる。そこには痛む人を孤立させないという知恵が働いていた。そう…

人間が抱く嫉妬のなかで最も暗くて陰湿なのは、対象となる人間の正しさや立派さに対してなの。 宮本輝

◇ 心ある大人たちに育てられた戦災孤児は成長して、長く住み込みで働いた先の老婦人にこう言われる。人は、正しいことをまっすぐにできる人のその“無垢”に嫉妬することがある。その伸びやかな光に照らされると、意識にいつも屈折を強いてきた自身の境遇ない…

現在に生きる 加藤周一「夕陽妄語」

841022 安危在是非不在強弱

行動を起こさないわれらの仲間たち

人類は目に見えないものを見る能力を持ち、歴史に対する想像力、伝統に対する創造力などはその最たるもので、歴史意識の欠如とは、個々の歴史的知識をあまり多くは持っていないということではなく、無限に詳細な探究を可能とする時空や事象の地平が、そのつ…